ベルギービールの魅力

ベルギービールの楽しみ方

日本ではビールといえば夏の風物詩で季語になっているほど、キンキンに冷やしたビールをジョッキに注ぎ、能うことなら、そのジョッキさえもよく冷やしておいて、くっと一息に飲み干すというのがお決まりです。付け合わせはもちろん唐揚げにソーセージ。
もちろん、それ以外の飲み方もされてきましたが、冷たいビールですっきり爽やかというのが典型的なイメージですし、事実、国産ビールの多くはそういった飲み方において最大限においしく感じられるように作られてきたともいえます。その対極にあるともいえるのがベルギービールで、ことによるとほとんど冷やさないで飲んだり、少しずつ噛みしめるかのように味わったり、デザートに合わせたりという楽しみ方もあるのです。

まずは、ベルギービールを飲むのに適した温度ですが、これはベルギービール自体が千差万別であるように、それぞれに適した温度というものがあります。とはいえ、いちばんよく冷やしたとしても10度を少し切る程度、銘柄によっては15〜18度が適温というものもあります。18度ともなれば、日本よりも涼しいベルギーでは室温というに等しいのです。
一般的には、ホワイトビールのような淡色のものほど低い温度で、といっても、9度あたりを目安にし、黄金色、赤褐色、茶色、焦茶と色が濃くなるにつれて、より高い温度で飲む方がいいと考えてよさそうです。

次にビールを注ぐグラスですが、これまた何でもかんでもジョッキ、あるいは、水道水でも飲むにふさわしい小さな筒型のコップではダメなのです。いや、ダメということはありませんが、ベルギービールにはそれぞれ専用グラスというものがあり、その深い味わいや香りを引き出すためには専用グラスで飲むのがいちばんなのです。
グラスはおおざっぱに言って、飲み口の少し下を絞ったチューリップ・グラス(ちょうどチューリップの花を真横から見たときの形をしています)、ワインやブランデー用と同じ形のグラス、シャンパン用とまではいかないものの細長いグラス、ゴブレット(聖杯型ともいいます)、タンブラー(いわゆる筒型)などがあり、それぞれビールの個性に合わせて、泡立ちをコントロールしたり香りを引き立てたりするように考えられています。

とはいえ、本当に種類の多いベルギービールのこと、自宅で飲む場合はよく飲む銘柄のグラスを揃えるだけでも大変です。
繊細な香りを逃さないように楽しめるチューリップ型、個性的で強い香りを堪能するための聖杯型、ホワイトビールやグーズ用にタンブラー型といった辺りを揃えると、とりあえずは一通り対応できるかもしれません。

そして、ベルギービールと料理との組み合わせのことをマリアージュ(mariage フランス語で「結婚」の意)と呼び、サラダに始まり、牡蠣やエビなどの魚介類、肉料理、果てはデザートに至るまで、フルコースの最初から最後まですべての皿に合わせて、ちょうどワインの種類を変えていくように、ビールの銘柄を合わせてゆくこともできるのです。
ベルギー料理にベルギービールが合うのは言わずもがな、色々と試してみれば、和食やエスニック料理にさえマッチするものさえ見つけられるのが、ベルギービールの奥深さなのです。

また、クリスマスビールを筆頭に、特定の季節にしか造られないビールというものもあるので、そういったことに着目して飲めば、ベルギービールで季節の移ろいを感じることもできるかもしれません。

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