南欧のラガーを舐めてみた

published on 2015-02-01

このコーナーは、試飲会のように大人数で集まって色々と飲み比べ、好みや意見を語り合うのではなく、筆者がもっぱら自宅で、しかも、主に真っ昼間から飲んだビールについて、とりとめもなく記してみたり、合うかどうかも分からない料理とのペアリングにチャレンジしてみたり(ミスマッチかもしれないので、マリアージュとは言えない)、早い話が飲んだくれ(見習い)の戯れ言のようなものです。
なぜ、飲んだくれ「見習い」なのかというと、筆者がびあトモの中でいちばんアルコールに弱く、あまり飲めない、いや、正直に白状してしまおう、ほとんど飲めないからであり、これまでの人生で飲んだビールは、その種類こそいつの間にやら数え切れないほどになったものの、飲んだ総量たるや…(こんな書き方すると多すぎて分からんみたいですが、もちろん、少なすぎて公表する価値もないのです)。
したがって、このコーナーのタイトルにも「こんなビールを飲んでみた」と付けるのはおこがましく、「舐めてみた」にしてみました。もちろん、残ったビールは他のびあトモのメンバーや、家族、友人などが美味しくいただいております。

南欧のラガー

Sagres,Moretti,Mahou

さて、第1回目は特に意味もないのですが、毎日のようにいく八百屋の隣にある高級スーパーで特価になっていたというだけの理由で、南欧のラガー特集です。イタリア、スペイン、ポルトガルから各国を代表するような有名なラガービールを集めてみました。
これらの国々やフランスのお酒といえば、もちろん、誰しもがワインを思い浮かべることと思いますが、意外にもビールの種類も豊富で、日本でこそなかなか見かける機会もありませんが、実は美味しい銘柄もたくさんあるのです。

ちなみに、筆者は学生時代、教授達に連れられてワインを飲み歩き、ラフィット、マルゴー、シュヴァル・ブランといった最高級ボルドーワインの数々を…、舐めたことあります。


Sagres

まず1本目は、ポルトガルのSagresからBrancaを。SagresはポルトガルのシェアNo.1ブランドで40%強のシェアを誇っているそうです。

その中でもいちばんよく見かけるのが、このBranca。
Brancaとはフランス語やスペイン語だとrではなくlの綴りで(流音の入れ替わりはよくあることです)、「白」という意味ですが、いわゆるホワイトエールやヴァイツェンではなく、ピルスナータイプとなっています。

ほどよい苦味とホップの香り、そして、キレのある飲み口という、これぞピルスナーの王道といったところでしょうか。
その分、甘味やモルト感は少なめですが、暑い日によく冷やして飲むには最高で、日本人好みのビールと言えるかもしれません。

あるいは、寒い冬にこたつで鍋をフーフーやりながら飲むのもいいかも。


Mahou

2本目はスペインのMahouからCinco Estrellas。
スペイン語のhは無音なので、マオウと発音します。傘下のSan MiguelブランドやAlhambraブランドなども含めて、これまたスペインのビール・シェアNo.1を誇るメーカーです。

Cinco Estrellasは五つ星という意味で、その名の通りぜいたくな造り、トップブランドMahouを代表する1本となっています。
日本にはこのCinco Estrellasの他に、ダークラガーのNegra(黒)も輸入されています。

さて、Mahou Cinco Estrellasのテイストはというと、今回試した3本の中ではいちばん甘味が強く、1口含んだだけでモルトの味わいを感じられます。逆に苦味はそれほど強くない、いえ、はっきり言って弱い。
先ほどのSagres Brancaとは正反対の特徴ですが、Mahouはスペインの中でもマドリッド、つまり、地中海側なので、タパスにベストマッチするのでしょう。


Moretti

最後はイタリアからBirra Morettiです。
Morettiはイタリアで最も古い歴史を持つビールメーカーで(今はハイネケン傘下)、世界中の40ヶ国以上に輸出されているということです。ビールジョッキを抱えた髭のおじさんがトレードマークです。

モルトの甘味もそれなりに感じられ、なおかつ、苦味もちゃんとあって、バランスのよい味わいにしあがっています。言うなれば、SagresとMahouの中間に位置しているといったあたりでしょうか。

中間とはいっても、どっちつかずというのではなく、ピルスナーは普段いちばん飲まないタイプなので、あまり偉そうなことは言えませんが、一口飲んだ瞬間に、「あっ、こんなピルスナーなら好きかも」と思ったのでした。
創業150年を記念して造られたGrand Cruというビン内二次発酵のアルトもあるので、いつかは試してみたいなあと。ただ、Morettiのイタリア語サイトにはGrand Cruが載っているけど、英語版サイトには記載がないので、イタリア本国のみの販売なのかな。


Sagres,Mahou,Moretti

さて、「舐めてみた」コーナーとしては、ぜひ、ビールと料理の相性にも迫ってみたいと思っているので、今回はタパス(が日本風に若干アレンジされたもの)と合わせてみました。
これは絶対に合うはずの無難な選択。だって、第1回からこのビールと料理のマリアージュは大失敗、離婚ですなんて結果はいやですから。

まずはシーフードサラダのトマト風味。これは予想通りMahouが合います。比較的風味の強いサラダの味に負けないコクがMahouにはあって、トマトの酸味をビールの甘味が包みこんでくれます(実は生のトマトは苦手です)。
Morettiとトマトもそこそこ合いますし、Sagresとだって相性は悪くない、でも、この3本の中ではMahouがいちばんでした。

次にタコのマリネ。マリネの爽やかさに対して、Sagresのキリッとしまったキレが互いに味わいを殺し合うことなく好相性でした。
お酢の苦手な人は、Mahouの甘味で酸っぱさを打ち消すといいかもしれません、なんかもったいない食べ方のような気もしますが。

Morettiはサラダともマリネともそれなりに合いましたが、実は、リゾットなどの方が相性がいいのではないのかという気もしつつ、第1回「舐めてみた」コーナーを締めくくりたいと思います。
順位などは特につけませんが、輸入ビールとしては比較的お手頃価格なので、みなさんもぜひ飲み比べてみてください。あるいは、舐め比べてみてください。
あくまでも個人の好みとしては、Mahouをもう一回舐めたいな〜。

kiyora

author : kiyora
my favorite beer : Dead Pony Pale Ale