アイアン・メイデン『頭脳改革』(1983)

お気に入りのビールを巡って、それを取り巻く様々なものごとについて自由気ままに語る all around the BEER のコーナー、第1回目は1983年に発売されたアイアン・メイデン(Iron Maiden)の4枚目のアルバム Piece of Mind (邦題『頭脳改革』)と、このアルバムに関係のあるビールを取り上げます。

NWOBHMの雄アイアン・メイデンの4thアルバム

アイアン・メイデンの『頭脳改革』は前作までのような、1曲の中で複数の異なる印象のリフを積みかさねてゆくことで、次から次へと目まぐるしく展開する複雑な曲構成という、プログレッシブな作りから離れて(その典型がファーストアルバムのPhantom of the Operaでした)、よりストレートで迫力のあるHR/HMアルバムとなっています。

デビュー当時はベーシストのスティーブ・ハリスだけが凄腕で、残りのメンバーはヘタウマなどと揶揄されていたアイアン・メイデンですが、そして、確かにごく初期のライブ・ミニアルバムに収められたPhantom of the Operaなどではツインギターのリフが揃っていなかったりもしました。

初期のアルバムはパンクっぽい荒削りなところがあったなどと言われることもありますが、やはり、その複雑な曲構成にテクニックがついていってないというのが本当のところでしょう。
その後、ライブを重ねメンバー交代もしたことで、このアルバム辺りからは安心して聴いていられるようになってきました。

しかし、当時の日本のHR/HMシーンはRainbow、MSG、Ozzy Osbourne、すでに解散していましたがDeep Purple、そして、まだ最後の輝きを放っていたQueenなど、メロディアスで様式美を追求したバンドが人気を博しており、そのせいなのか、世界的にはかなり売れていたはずのAC/DCなどが国内ではぱっとしませんでした。
それと同様に、このPiece of Mindもまた、前作までと比べて分かりやすい曲構成になって単調だと批評されることもありました。

バンド初のベストアルバムであったBest of the Beast(1996年発売)の時点ですでに、ファーストアルバムからはPhantom of the Opera, Sanctuary, Strange World, Iron Maidenの4曲が収録されているのに対して、Piece of Mindからは2曲しか収録されていません。
また、コンサートでは今でもラストにIron Maidenが、そして、アンコールではRunning FreeSanctuaryが演奏されるのと比べて、たった1曲を除けば、このアルバムの曲がライブのセットリストに入ることもほとんどありません。
スティーブ・ハリスがお気に入りのアルバムだと言っていたにしては、そして、HR/HMが広く市民権を得るよりも以前のアルバムとしてはよく売れたのと比して、その後ほとんど忘れ去られてしまった感さえある不遇のアルバムなのです。

kiyora

author : kiyora
my favorite beer : Dead Pony Pale Ale